プログラマ旅行記

カナダに滞在してるプログラマです。たぶん歴史/文化/政治とかそのあたりの思った事をかきます。

艦これがまずいのは、歴史を学ぶきっかけに"ならなかった"時

艦これをきっかけに歴史を学ぶ」というテーマの記事を幾つか読んだので思った事を書く。艦これをプレイして歴史を学ぶきっかけになり歴史を学んだ場合はそれで良い。だがしかし、問題は艦これをプレイしたが歴史に興味を持たず学ばなかった場合だ。その場合、湾曲された情報だけがプレイヤーの記憶に残ってしまう。

1. ゲームがきっかけで歴史を学ぶ人は少ない

第二次世界大戦を題材にした映画における日本は、大体悪者として描かれている。その映画を見た事は無いのだが、今住んでいるカナダのホストファミリーに「それを題材にした映画の殆どは、日本を悪者扱いしているから見ない方が良い」と教えてもらった。おそらく、これらを見た海外の人は日本が悪い国だと錯覚するだろう。なぜなら、その映画を見た人全てが改めて日本の歴史を勉強し直すということはあり得ないからだ。

これは艦これも同じ問題を孕んでいる。殆どの人は歴史に興味を持たず、艦これをプレイするだけだろう。それ自体は何も悪いことはない。問題は艦これから間違った歴史を学んでしまった場合に、歴史を学ぼうとしなかった人はそれを修正する術が無い事だ。

2. 艦これが人を「歴史」から遠ざける

艦これをプレイすることで間違った歴史を学ぶ可能性はあろうのだろうか?艦これはゲームなのだから、ゲームの内容=歴史のようにそのまま真に受ける人はまずいないだろう。プレイヤーだって学校には行っているはずだから、現実と虚構の区別くらいはつくはずだ。だから、服が破けるから良く無いとか、実際の歴史と違うから間違った歴史を学んでしまうとか、そういう点については特に心配していない。

ただ、艦これは、歴史を学ぶ気がない人に対しては、歴史をむしろ遠ざけているのではないかと思う。なぜなら、戦争だとか兵器が抽象化されすぎていて、戦争というものがあまりに日本と無関係で、遠いもののように錯覚させてしまうからだ。例えば、戦艦の名前を聞いて「女の子である」という認識と「戦争する為の船艇である」という認識はかけ離れすぎている。

3. どうするべきか

歴史を学ぶ、というのはとても良いことだし、艦これをきっかけに歴史を学ぶ人が増えたらそれはすばらしいことだと思う。そのような人を増やす方法としてすぐに思いつくのは「艦これをプレイするだけで歴史が学べるようにする」もしくは「艦これをきっかけに歴史に興味を持つ人を増やす」のどちらかである。艦これをきっかけに実際の戦艦を見学に行く、というのが増えているらしいが、良い傾向だと思う。どうしたら良いのかはまだ答えは出ていない。