日本の文化を知らない日本人
日本人が日本の文化を知らないのは、「なぜ」と問う必要がないからだ。先日の記事(
日本人の英語が伝わらない理由 - プログラマ旅行記)
とも関連する。
1. はじまり
今日、英語学校でメキシコ人からこのような質問をされた。
- 何故、日本には中華街があるのか?日本と中国は近いのだから行けばいいじゃないか
- 何故、日本は家に入るときに靴を脱いで上がるのか?
そのような質問をされるとは思っていなかったので物凄く答えに困ってしまった。文化について質問されて困っているのは僕だけではなく、周りの日本人も困っているようだ。箸の使い方のルール(迷い箸など)は何故存在するのか、無いと誰が困るのか...など。これは英語の能力の問題ではなく、単に日本の文化を知らないというだけである。
2. 日本人にとっての「知っている」とは何か
何故、日本人は日本の文化を知らないのだろうか?僕の答えは日本人が文化を知らないのではなく、「知っている」ということに対する基準が海外と異なる、というものだ。日本人はテストが得意だ。「箸をお皿の上でふらふらさせることを何と言うか?」という問題に対して、「迷い箸」と答えられればそれは知っていると見なされる。学校のテストでも年号を暗記をして、その年号を答えさせることが多い。「物知り」というのはいかに多く知っているかということをさす言葉であり、理由や背景を事細かに知っていることは必須ではない。しかし、それは海外では通用しない。なぜなら、彼らに取っては「知っている」というのは「理由を説明できる」ことと同義だからだ。
3. すべての国民が同じ文化を持つ日本
日本人は理由を説明する必要がない。なぜなら、同じような環境で生まれ育ち、ほとんど同じ宗教を持ち、同じように学校に行って生まれ育った人々が暮らす国だからだ。例えば、日本で暮らしていてお花見をするときに「お酒が飲めない」と言われたら勝手に「ああ、お酒に弱いのか」と言わなくても納得するだろう。しかし、イスラム教だから宗教上の理由でダメだとか、屋外でお酒を飲むのは違法だと思い込んでいる(*1)とか、日本人の視点で考えると思いもしない理由でお酒が飲めない人は大勢いるのだ。海外で理由を説明することが重視されるのは、思いもしない理由であることがよくあるからである。なぜなら、海外の国々は他民族国家であることがあり、文化的背景を共有していないからだ。文化的背景が同じの日本であれば、理由を説明しなくてもコミュニケーションが成り立つ。理由を聞いても皆が同じことを言うのであれば、聞かないのが合理的だろう。
(*1) カナダでは違法