プログラマ旅行記

カナダに滞在してるプログラマです。たぶん歴史/文化/政治とかそのあたりの思った事をかきます。

日本人は新しいものを作れない

現在カナダでホームステイをしているのだが、ホームステイ先のマザーにそう言われた。車を発明したのはダイムラーとベンツ、テレビを発明したのはイギリス、パソコンはApple(*1)だ。確かに今、ホンダやトヨタの車がカナダ国内で走り回っているし、家では東芝のテレビとパソコンが使われている。でも、それは日本が発明したものではなくて、他の国で発明されたものだ。そのアイデアを日本が真似して、(当時)低価格かつ高品質な製品を作って世界中に売ったのだ。

日本が発明して世界で売れたもの、というとウォークマンくらいしか思いつかない。確かに、任天堂が作ったWIiやDSは世界で売れたし、ジブリのアニメは世界でも有名だ。それでも、日本で作った最初のテレビゲームはATARIのPONGのコピーだし、日本がアニメを最初に作ったのは1950年以降、ディズニーが白雪姫のカラーアニメを作って10年以上も経ってからだ(*2)。

日本人は新しい何かを作るよりも、既にあるものを改良したり、製作プロセスを改善、進化させるのは得意だ。例えば、ニコニコ動画を見ていると、オリジナルの曲を公開する代わりに既存の曲を歌ったり、楽器を弾いたり、ミクに歌わせたりする動画が目立つし、MADのようなアニメの音声や画像の素材を使って組み合わせた動画が多い。これも既存の何かを進化させることに長けるという国民性の表れだろう。

「日本は昔、ジャンクな製品を沢山作って売ったのよ」

とも言われた。高度経済成長期、米国と比べて安い製品をたくさん輸出して日本は成長してきた。その日本の製品を見てマザーは「ジャンク(低品質)」だと思ったようだ。日本は昔から一定して高品質な製品を作っていたと思っていたのだが、実は違う。マザーが子供だった1960年代〜1970年代の日本製品は、米国では低価格・低品質だと思われていた(*3)。1980年代あたりから日本製は高品質であるという認識が広まったのだ。

一方、中国で作られた製品も数年前は「低品質」というイメージが強かったが、最近ではそのイメージは薄れているように思える。例えば、スマホの部品も中国で作られているし、衣服も中国製だ。サムスン、LG、acerなど他のアジア勢の電化製品も高品質になってきている。この先、日本はどうなるのだろうか?既存の「高品質・高価格」の商品では他の国々の「高品質・低価格」の商品にいずれ勝てなくなるだろう。今の日本は既に「自分で何か新しい物を作り出す」以外に生き残る道が無いのだと思う。

プログラマとして、「日本人は新しいものを作れない」と言われたことに腹が立ったし、自分が新しい物を作れる人間にならなければ、という良い教訓になった。これから新しい物を作って行ける国になればもっと良く良くなると思う。

補足:
日本が起源の製品ではないからダメだ、という主張ではない。僕はアニメも見るしゲームもする、車も日本車が好きだ。

(*1) 製品として売り出したのがAppleで元々はXEROXの発明
(*2) ヒットを受けて同じようなものを作り出した、という意味で書いた。ただ、その時代は戦争中でアニメ制作どころでは無かったのかもしれない
(*3) http://boards.straightdope.com/sdmb/archive/index.php/t-633258.html